野中一真
醸造家を目指したきっかけ
●皆に喜んでもらえるクリエイティブなもの
幼稚園から高校生までとインターナショナルスクールに通い、将来、何になりたいかと真剣に考え出した高校2年生。
自問自答を繰り返し、出した答えが「映画監督」
それを両親に話したところ・・・猛反対! 人生はじめての挫折です(笑)
ショックで落ち込みながらも「何かコンセプトを決めて新しいものを生み出し喜んでもらうこと」を仕事にしたいと考えていました。
人間が欲求し必ず必要とするもの「衣(医)・食・住」の中で決めようと決意したのもこの時期です。
最高の媚薬 お酒
設計士である父親は頑固で非常に怖い存在でした。
しかし、お酒を飲むと非常にフランクとなり、今までが嘘のようにスムーズにコミュニケーションがとれる存在に変わるのです。そんな親父が好きでした。
お酒で性格までを変えてしまう魅力にはまり、そこからビールに興味がわき、お酒のつくり方を調べだしたのを思い出します。
お酒を作ってみんなを笑顔にしたい!ってそう思い、醸造家になることを決意したのです。
創意工夫
新卒で入社3年目となりました。座学も知識もある程度大学で学んだことで自信もあったのでが、実際の現場では醸造の設備も違うので戸惑うことが多くありました。
「習うより慣れろ」という社長の言葉から、弊社の看板商品である「AGARA」を醸造しながら設備の特性を熟知し、常に気づいたことをメモていきました。
設備の特性を知ることで、味を引き出すポイントが理解でき、作業効率化が図れ、自分のイメージするクラフトビールに近づいていきます。
現在では、お客様の要望をヒアリングして引き出しレシピ開発も任してもらっています。
時間やスケジュールの空きがあれば、新しいビールのコンセプトを考え、小さなタンクで試験醸造しています。こうして技術力を高めていっています。
「醸造家」は一見華やかな職業に見えますが、ルーチン作業の繰り返しです。しかし目に見えないリスクと隣り合わせの業務となります。
向上心や探究心、そして現場での創意工夫がないと、成り立たない職業だと思います。
肉体労働ですが、お客様の「笑顔」や「おいしい」の言葉が、醸造家になってよかったと思う瞬間です!
自分の技量
弊社はブルーパブの形式であるのでダイレクトにお客様に評価はしていただけますが、ブルワーが誰もが目指すグレートビアアワードでの受賞。
レシピ開発に着手したのは、和歌山県龍神村でのゆずを使用した「ゆずエール」。
ゆずは入れすぎると「苦味」だけが残ってしまい、少量であれば風味すら残らず非常に難しい素材でもあります。
口の中に入れたときの麦芽(モルト)とゆずとホップの苦味を絶妙なバランスで保つことで、一口ずつ味わえるように設計しました。
お店での評価も上々であり自信を持ってエントリー。見事に銀賞を受賞しました!
醸造家として自信に繋がり、世間に認められた瞬間でもあります。
イメージすることが重要であり、それをどのように表現するか。これがとても重要であり、醸造家冥利に尽きます。
今後のなりたい姿
私が理想とするクラフトビールのコンセプトは、一口目で自分を労い、 2口目で自分がHappyとなり、3口目ではその廻りが幸せになるです。
自分のつくったクラフトビールが、飲んだ人の「よりどころ」になるビールを目指しています。
そして将来的には、弊社のクラフトビールの技術が本場アメリカでも認められ市場流通することが理想です。
勿論、自社のビジョンとあわせながら自己実現に向けてです。
クラフトビールは再現性が非常に難しい商品です。技術力を向上させて、「人と人をつなげる」・「空間をつなげる」・「幸せになる」 クラフトビールを醸造していきます。